研究目的

植物生理研究室

澱粉の合成メカニズムを解明し、バイオテクノロジーを用いて澱粉新素材を開発する

研究目的

 植物分子生理学の分野でオリジナリティーの高い研究成果を世界に発信するためには、研究テーマを絞って深く掘り下げてゆくことが必要です。私たちの研究室では、植物が長い生物進化の過程で完成させてきた光合成の最終産物である澱粉の特有の構造の解析と物性との関連、澱粉合成代謝に関与する遺伝子や酵素の構造と機能、代謝過程の制御機構、シアノバクテリアから陸上植物に至る植物の進化に伴って澱粉合成過程がどのように進化してきたか、などの未知の諸問題を明らかにすることを目的にして研究を行っています。さらにそこから得られた成果をもとに、バイオテクノロジーの手法やさまざまな酵素の働きを用いて、機能性食品や工業品の素材として澱粉やその加工品を社会で利用される道を開くための研究も行っています。

 

 澱粉は日ごろ口にしてもっともなじみの深い物質ですが、澱粉は直接食べるだけではなく、国内でも3000種類におよぶ食品、工業、医薬用などの用途に用いられています。澱粉は分岐状の高分子であるアミロペクチンと直鎖状のアミロースの2成分から成っていますが、通常の澱粉はアミロペクチンが全体の70ー85%を占めています。アミロースを含まないものは一般に餅澱粉とよばれ、よく知られているように独特の味わいのある食品に用いられています。

 

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 アミロペクチン分子はグルコースが多数結合した高分子で、α-1,4グルコシド結合と呼ばれる直鎖がα-1,6グルコシド結合と呼ばれる分岐結合でつながっています。この化学結合上からは動物やバクテリアが持つグリコーゲンと全く同じです。しかし澱粉はグリコーゲンと違って、水に溶けにくく(澱粉=デンプンの『澱』という字は水に溶けないという意味です)、糊状になったり、固まったりする特有の性質があります。この他にも澱粉には他の物質には見られない実にユニークな性質がある(例えば、形や大きさが植物種ごとに違っている結晶性の高い澱粉粒を形成する性質など)のですが、これらの性質にはアミロペクチンの分子構造、アミロースの構造や含有量、澱粉結晶粒の形などが深く関わっています。しかし意外なことに、教科書などにも紹介されることがなく、この重要なことは案外知られていないのです。澱粉構造に関しては以下の《研究内容》で具体的に説明してありますので、ぜひご覧ください。

各項目の研究内容

 
イネ
澱粉生合成メカニズムの解明と
新規澱粉を生産するイネ品種の開発
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糖質作用酵素の生化学・構造生物学
 
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シアノバクテリアにおける
炭水化物代謝の解析
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