澱粉の合成メカニズムを解明し、バイオテクノロジーを用いて澱粉新素材を開発する
植物は太陽エネルギーを物質エネルギーに変換して蓄え、季節や日々めまぐるしく変動する環境下にあって、大地にしっかり根を下ろして成長し、継代しています。植物は私たちに食糧を供給してくれるほかにも、生育している環境を心地よいものにして他の生物を保護しています。また植物の成長を見ることはとても心地よく、私たちはどんなにか心が慰められていることでしょう。植物には動物や微生物には見られない特有の柔軟でたくましくすぐれた能力が備わっているのですが、風にそよぐ可憐な植物を一見しただけでは気がつかないほどです。
植物生理研究室では、植物特有の生命の営み(光合成などのエネルギー獲得のしくみ、環境ストレス耐性などのしくみ、成長・生殖などの生活環のプロセスなど)を学習し、研究しています。現代は食糧供給や環境破壊への対策を例にとっても、人類が植物の持つ力に依存しなければならないことが明白になっています。植物の営みの奥にひそむ合目的で精密なしくみを科学し、そのすぐれた能力を利用する技術を開発することが緊急に求められています。車部品などの工業品素材として、従来の石油資源に頼らず植物の生体物質に頼る動きが加速し、「植物度」(植物に由来する素材がどの程度使用されているかを示すことば)が話題に上るようになり、それだけ将来は植物の働きや植物が作り出す物質の利用が大きく期待されています。私たちは、このような時代背景のもとに、植物の生理現象を科学的な態度で理解するためにDNA、たんぱく質、糖などの分子レベルで解析し、植物のすぐれた機能を役立たせる新技術を開発することをめざして、教育・研究を行いたいと考えています。そのために、学内はもとより、国内や海外の研究者との共同研究を積極的に行っています。