研究 4 バイオマス植物 樹木ポプラの鉄欠乏応答に関する研究

ポプラの鉄欠乏応答に関する研究
地球温暖化の問題 

地球温暖化の影響の一つに、海水面の温度上昇とそれに起因する異常気象があります。2018年7月の西日本豪雨、2020年7月の九州豪雨など、日本でもここ数年、毎年のように異常気象が続いています。

木本バイオマスの利点

バイオマスには、主にサトウキビやトウモロコシなどイネ科植物由来の草本バイオマスと、樹木由来の木本バイオマスがあります。草本バイオマスを生産するためには耕作地を使う必要があり、また草本バイオマス自体が食糧であるため、食糧生産と競合するという問題があります。一方で樹木は斜面、山、不良土壌など、本来は耕作に不適切なところでも栽培可能なため、食糧生産と競合しないというメリットがあります。

ポプラの鉄欠乏応答に関する研究

ポプラは、樹木の中でも低温や乾燥などの環境ストレスに強く短期間で生育するため、バイオマス生産において有用な樹木です。内モンゴル自治区の砂漠の緑化にも使われています。砂漠の土壌はアルカリ性の場合が多く、ポプラの鉄吸収能力を高めることが出来れば、砂漠の緑化により有効だと考えています。その前段階として、石灰質土壌と鉄欠乏水耕液で栽培し、ポプラの鉄欠乏時の生理応答を調べました。また鉄欠乏時に発現が誘導される鉄関連遺伝子を調べ、ポプラの鉄欠乏耐性の仕組みを明らかにしました。

ポプラの鉄吸収能力を強化し、鉄欠乏により強いポプラを作り、砂漠の緑化に貢献出来たらと考えています。

ポプラに三価鉄還元酵素遺伝子refre1/372と、ニコチアナミン合成酵素遺伝子 HvNAS1の発現を強化し、鉄欠乏耐性能を付与することに成功しました。

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この研究は、ALCA 先端的低炭素化技術開発 (西澤直子先生、光田展隆先生代表)のプロジェクト及び、日立財団、倉田助成金 (増田寛志代表)によるものです。

ポプラの水耕栽培 左:鉄有り 右:鉄欠乏
ポプラの水耕栽培 

左:鉄有り 右:鉄欠乏