植物保護研究室

植物保護研究室

植物のお医者さん

科学的根拠に基づいて病害で困っている農家を助ける実践的な研究

 植物に病害を引き起こす原因として、糸状菌、細菌、ウイルスなどがあり、多くの大学の研究室では、いずれかの病原に焦点を当てた研究が行われています。植物保護研究室では、病原体にこだわることなく、農業現場から拾い上げた様々な病害を対象に研究を進めています 原因不明の病原体の同定から始まり、農家への防除指導までの一連の研究とともに、DNA鑑定技術を使った発生生態の解明、発生予測システムの構築などに取り組んでいます。防除指導は農薬の使用を基本としていますが、化学合成農薬に依存しない、環境に優しい防除技術の確立も合わせて進めています。

植物保護学とは

 作物は生育の途中で異常気象、病原菌、害虫、雑草などの脅威にさらされています。これらの一つからでも大きな障害を受けると収穫できなかったり、売り物にならなかったりします。これらの障害からいかにして作物を守るかを研究、教育するのが植物保護学です。 

 私たちの研究室ではこれら障害の中の病害を中心に研究しています。植物病害の科学的、合理的防除という最終目標に向かってアプローチのしかたはいろいろありますが、私たちの研究分野では病気の現場、つまり畑や田圃がスタートでありゴールであると考えています。途中、実験室のなかで実験、研究するということはもちろんありますが、決してそれだけで満足しないというのが私たちのモットーです。 

研究内容

 現在の農業では農薬に頼った栽培が主に行われています。一部には無農薬栽培などがありますが、農薬を使わないで安定した農業を営むのは難しいのが現状です。そこで私たちは、光学あるいは電子顕微鏡や分子生物学的技術を使って病原菌の生態や病害発生の仕組みを明らかにし、そこでみられる生物現象や拮抗微生物などを巧みに利用した防除法を開発する研究に取り組んでいます。主な研究対象として土壌伝染性および空気伝染性の菌類による病気とウイルス病をとりあげています。 

 【具体的な研究内容】

 ●消毒しなくてもよいクリーンな種子を選抜

 ●DNA親子鑑定技術を応用して病原菌の発生生態を解明

 ●原因不明のウイルス病を解明する

 ●タマネギに発生する病害制御

 ●植物(作物)の根に潜む菌類の研究

 ●科学的に減農薬を実現する技術の開発