コメの生産では収穫した籾重量の1/5の籾殻が発生します。籾殻は畜舎の敷材や暗渠の補助材など用途が限られ、その25%近くは廃棄(放置)されています。この籾殻を燃料にした熱供給が試みられています。
畜産廃物、下水汚泥などの有機性廃棄物は、窒素、リンなどの肥料分を含むとともに、亜鉛などの微量有用元素を多く含みます。この亜鉛を植物に吸収させることで、人体に有用な亜鉛含量の高い作物の生産を目指しています。
過去の鉱山開発によるCdによる農地汚染は、秋田県でも大きな問題として残っています。水田のイネおよび転換畑でのダイズのCd吸収が特に問題です。また東日本では原発事故で拡散した放射性Csによる農産物の汚染阻止は食の安全を守る最重要の課題です。カドミウムやセシウムを吸収・蓄積しない新たな稲品種の開発が求められています。
植物にカドミウムなどの土壌中の有害物質を吸収・蓄積させることで、有害物質で汚染された土壌を浄化する方法です。安価かつ環境への負荷を抑えられる持続的な土壌の浄化方法として注目されています。
鉄は、生体内で適切な量にコントロールされる必要があります。植物にとっても少なすぎても多すぎても生育に悪影響を及ぼします。酸性土壌では、鉄を吸収しすぎることによる作物の鉄過剰が、アルカリ性土壌では、鉄を吸収出来ないことによる作物の鉄欠乏が引き起こされやすくなります。
鉄欠乏症を示すポプラ
イネの鉄過剰栽培実験
世界人口の約半分が主食としているコメのミネラル栄養価を高めれば、「隠れた飢餓」ともいわれる微量栄養素欠乏症の改善に大きく貢献します。イネの鉄や亜鉛の吸収・蓄積能力を高め、鉄・亜鉛栄養価の高いイネの開発に取り組んでいます。
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