植物分子生理学
(鈴木担当分)

昨今、バイオテクノロジーの応用により、有用作物が創出され、また、これを通じて植物における
生存戦略についての重要な知見が数多くもたらされつつある。本授業では、新規技術の基礎となる、
生化学、分子遺伝学、ゲノム生物学の最新の知見を理解し、応用に結びつける上で不可欠な知識を習
得する。

1.食糧は植物特有の物質生産システムに依存している。ソース器官における光合成・シュクロース
合成過程、転流物質のロングディスタンス輸送過程、シンク器官における物質合成と貯蔵過程には
特有のしくみが存在する。こうした各しくみをバイオテクノロジーによって改良する試みが世界的
になされている。この試みが成功するためには、しくみに関する分子レベルの理解が不可欠である。
本分野の研究例を紹介し、本分野の将来展望を解説する。

2.植物は、運動性を持たない故に、生育環境に対して幅広い適応能力を備えている。代表的な環境
ストレス要因(光、酸素、温度、塩分など)に対する応答の機構と、バイオテクノロジーによる制
御技術について述べる。

3.第2項に関連して、植物における環境応答を担う細胞内、あるいは細胞間のシグナル伝達機構が
明らかとなってきた。この過程に関わるタンパク質、およびセカンドメッセンジャーの機能を、動
物、微生物において得られた情報とも関連、対比させながら紹介する。

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