植物生化学 シラバス
授業の目標
植物の同化代謝を中心に各種の主要代謝過程を学び、生物が営むエネルギー変換の物理化学的基礎
を習得する。植物における代謝の特殊性を把握すると同時に、多様な生物種で共通した機構が随所に
働いていることが認識できるようになる。
日常生活には様々な生体物質の名称が満ち溢れている。これらの化合物が生命活動の維持において
どのような役割を担っているのかが理解できるようになる。
到達目標
授業、および授業時間外学習を通じて作成したノートと配付資料に基づき、以下の項目を説明できる。
・ 作物の生長、生産を物質代謝の観点から説明できる。
・ 植物、動物、各種微生物における代謝の特殊性、および共通性を挙げて説明することができる。
・ 日常見聞する化合物の構造と生化学的機能について説明できる。
授業の概要・計画
<授業の概要>
生体物質、酸化還元とエネルギー、細胞内構造に関して復習した後、光合成、炭水化物代謝、呼吸、
脂質代謝、窒素・硫黄(アミノ酸)代謝、核酸代謝の各項目を学ぶ。
<授業計画>
1.アミノ酸、タンパク質のかたちと動き。構造式と分子模型の対応。タンパク質高次構造の表示法。
2.エネルギー代謝を理解するための、熱力学の初歩と、酸化還元反応との関わり。
3.細胞の構造と、細胞内共生によるミトコンドリア、葉緑体の成り立ち。
4.光合成において光エネルギー捕獲から還元力と化学エネルギーが作られるまで。
5.葉緑体中のタンパク質複合体に含まれる各種成分と、それらのエネルギー変換、電子伝達における働き。
6.ATP合成の仕組み。
7.光合成において二酸化炭素が有機物質に取り込まれる仕組み。二酸化炭素固定酵素の構造と性質。
8.植物種による光合成同化代謝の多様性。
9.澱粉、ショ糖の合成の仕組みと、その代謝調節。炭水化物の各種異化代謝。
10.ミトコンドリアでの物質変換、他の代謝過程との相関。
11.ミトコンドリア内膜で電子伝達を担うタンパク質の構造と性質、エネルギー生産の収支。
12.脂質の構造、動物、植物における代謝の特徴。
13.生物圏における窒素循環と、各種窒素代謝の生理的意義。
14.無機窒素化合物、無機硫黄化合物からアミノ酸への同化代謝の仕組み。
15.核酸の前駆物質の生合成。RNA前駆体からDNA前駆体へ。
成績評価の方法
授業内容の復習としてレポートを課す(計10回を予定している。翌週の授業時に提出する)。
期末試験67%、レポート33% の比率で評価する。ただし、欠席が多い場合には自ずと高得点を得ることは
困難になる。
テキスト・参考書等
配布資料に基づいて授業を進める。参考書として、
Buchanan, Gruissem, Jones (2000) Biochemistry and Molecular Biology of Plants,
American Society of Plant Biologists.
Berg, Tymoczko, Stryer (2012) Biochemistry 7th edition, W.H.Freeman and Company
履修上の留意点
既習科目の内容を改めて整理し、関連づけて学ぶこと。
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